カーネギー賞受賞 13歳のサイモンは、夏休みを初めて継父の家で過ごすことになった。だが、死んだパパを未だに敬愛するサイモンは、継父や家族への憎悪を募らせ、かつて忌まわしい事件があった水車小屋に巣食う邪悪なもの「かかし」を目覚めさせてしまい…!? 英国児童文学の巨匠が、追いつめられた少年の心理を鮮やかに描く。
かかしというと、田園などでのんびりたたずみ、ほのぼのとした雰囲気を放っているものというイメージがあります。
でもこのお話のかかしは違います。とっても怖いのです。
母親の再婚相手が気に入らない少年サイモンは、日ごと家族から孤立していきます。
そして増幅する憎しみの気持ち。
そんなサイモンの憎悪が、曰く付きの「かかし」を家に近づけるのでした。
どんどん近づいてくるかかし。
家にやってきたら一体何が・・・じわじわと攻めてくる恐怖を感じます。
新しい父親をなかなか受け入れることのできないサイモンの度重なる嫌がらせ。
その行動は目に余るほどですが、逆にそれがとても痛々しくも感じます。
自分の願いとは裏腹に、家族から敬遠されていく姿。
自業自得とは言い切れない、何ともいえない切なさがあります。
かかしを近づけてきたもの、それは誰もが抱く感情。
私たちにも、違った形でこんなことが起こるのかもしれません。 (こりえ♪さん 30代・ママ 女の子2歳)
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