グローバル化の進展とともに富の偏在は進み、「21世紀の資本」は凄まじい規模と速度で国境を越え、暴利をむさぼる。 富裕層の不労所得が増大と集中をする一方で、経済格差は広がり、「使い捨て型」雇用は増え、働く人々に貧困が忍び寄る。
経済活動は人間の営みである。人間の営みである以上、経済活動は人間を幸せにできなければいけない。 多少なりとも人間を不幸にするようであれば、その営みは経済活動ではない。 一見、経済活動であるかに見えても、人間を不幸にし、人権を侵害するようであれば、その活動は経済活動ではない。
21世紀の労働者たちの窮状、「働き方改革」の正体、労働観の歴史的変遷、偉大な思想家たちの労働に対する考え方……etc. マクロ経済学・国際経済学・国際金融が専門の著者が、そもそも「人はなぜ働くのか」、探求の旅に出る。 今、その時が来た――。
<目次> 序章 ―――「21世紀の労働」に目を向けるわけ 第1章―――湧き上がる「人はなぜ働くのか」論 第2章―――2つの「人はなぜ働くのか」論を比べてみれば 第3章―――日本の21世紀の労働者たちが当面している状況 第4章―――かつて人々はどう働いていたのか 終章 ―――「21世紀の労働」を呪縛から解き放つために
(本文より) 野生化した主義なき資本≠ノ対抗するには、今日の労働もまた、あの当時とは異なる形で防備を固め、攻めの構えを整えなければならないだろう。つまり、「21世紀の資本」なるものが出現していて、その生態に焦点を当てた画期的著作が書かれている以上、それと対をなす姉妹編として、「21世紀の労働」が書かれるべきだと考えられるのである。
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