気候変動が差し迫った課題となっていることや、ロシアのウクライナ侵略などに起因する電力調達価格の高騰で電気料金が値上げされることなどをふまえて、原子力発電の利用を促進すべきだという主張が強まっています。 私は、福島第一原発事故を起こした原発を引き続き電力供給の主軸にしていくのか、あるいはこのような事故を二度と起こさないために撤退していくのか、そもそも生活や産業を支えるエネルギーや電力をどう安定供給するのか、国民が肝を据えて議論しなければならないと思っています。 ところで、こういった議論を進める上で必ず押さえておかなければならないひとつの問題が、このところ抜け落ちてしまっているように思えてなりません。それが、この本のテーマである原発事故時の防災対策、すなわち原発で重大な事故が起こってしまった際にどのようにして命を守るか、という問題です。(「はじめに」から)
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