重厚なベートーヴェンやワーグナーに比べ、軽妙洒脱・癒やし音楽の旗手と捉えられがちなモーツァルト。しかしその美しい旋律の陰には、残酷な<仕掛け>がいくつも潜んでいた――。 ≪後宮からの逃走≫〜≪魔笛≫に至る喜劇オペラの比較と恋愛描写の変遷を、熱狂的モーツァルティアンである著者が、細部に亘って吟味・考察。既存の論評を鮮やかに覆す、画期の書!
本書は、『恋愛哲学者モーツァルト』 (新潮選書 2008年3月刊行)を改題したものです
内容紹介
男と女の幸福な関係について、 モーツァルトほど考えた作曲家がいただろうか?
目次 はじめに 「時代の子」としてのモーツァルト
第一章 モーツァルトとオペラ史における愛の発見
第二章 愛の勝利 《後宮からの逃走》と青春の輝かしき錯覚
第三章 「昔はあんなに愛し合っていたのに」 《フィガロの結婚》と喜劇の臨界点
第四章 悪人は恋人たちの救世主 《ドン・ジョヴァンニ》と壊れた世界
第五章 臍をかんで大人になる? 《コシ・ファン・トゥッテ》と男女の化学結合
第六章 清く正しく美しく 《魔笛》と市民社会のイデオロギー
注釈 文献ならびにCD、DVDガイド あとがき 学術文庫版あとがき
|