「短歌」と聞いたときに思い浮かぶイメージは,ちょっと渋いものかもしれません.でも,短歌のもつ5・7・5・7・7のリズムが,実はすぐ身の回りで見つかる,いわば日本人の身に染みついているものだとわかれば,どうでしょうか. この本では,「飛び出すな車は急に止まれない」という5・7・5の交通標語に,7・7の下の句を付けたり,桃太郎の物語を短歌に「翻訳」してみたりします.そしてついには,卵焼きのレシピまで短歌に! また,古典の和歌から一部を借りて歌を作るテクニックや,架空の歌合の楽しみ方なども解説し,古典にも親しみやすく入門することができます. 全編を通じて,著者の栗木さんの,「こんなに楽しい短歌の世界にとびこんでみないなんて,もったいない!」という,静かでやさしい熱意にあふれています.この本を閉じる頃には,「うん!なんだか短歌を作れる気がしてきた」となること,うけあいです.いえ,読み終わるころには,何首も短歌が出来上がっているかもしれません. 堅苦しくいえば,日本の伝統的な定型詩である短歌ですが,想像をはるかに超えるシンプルさと楽しさに,ぜひ目覚めてみて下さい.
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