「震災に遭いました」「放射能が降っています、静かな夜です」…… このような、ストレートなメッセージを書き殴り、ツイッターに投稿した。正気を取り戻すことができるようになったのは、全国の、フォローして下さった方々からの、たくさんのメッセージの一つ一つにあった。 私たちの精神を追い込むのも、救うのも言葉なのだ。あらためて〈絶対〉の崩壊に立ち向かうには、〈言葉〉しかないのだ。(本文より)
「ふたたびの春に」というタイトルの本書が刊行された時に、もう一年になるのかと思ったことを良く覚えている。今はここで波と風を受けながら、もうじき十年になるのかという思いがする。それは思いを残して一瞬にして世を去った人々、そしてまだ発見されないまま無念にも海に眠っている方々も同じなのかもしれない。(「文庫のための前書き」より)
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