学術文庫版「中国の歴史・全12巻」の第6回配本・第9巻は、明朝と清朝、ふたつの大帝国を1冊で通観する。出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)が「名著ぞろいのシリーズの中で、まさに名著中の名著。内藤湖南に匹敵するのでは」とイチオシする話題作。 2003年3月、雲南省昆明の空港で、著者は不思議な一行に出会う。聞けば彼らは、台湾の港町・花蓮から、海の女神「媽祖」を奉じて、雲南省の麗江を訪ねた帰路だという。台湾の海の女神が、なぜ中国内陸の観光地を?――この謎から、海に囲まれた東ユーラシア500年の歴史が浮かび上がってくる。 14世紀半ば、朱元璋が開いた明朝は、万里の長城の修築や、鄭和の南海遠征など、古代的な性格の色濃い王朝だった。それに対し、16世紀に登場したヌルハチに始まる清朝は、少数の満洲族のもとでさまざまな人々が闊達に生き、近代的な活気に満ちていた。古代的な明代から、近代的な清代への跳躍はなぜ可能だったのか。それを解明するには、「海に向かい合う中国」を見ることで、従来の中国史の枠を超える必要がある。倭寇と朝貢、銀の流通と世界経済、清朝皇帝とチベット仏教。地球規模の視点から、ふたつの帝国を描き出す。そして19世紀、アヘン戦争や太平天国を経験し、中国社会は近代への脱皮に備えて大きく変化していく。〔原本:2005年8月、講談社刊〕
目次 はじめに 大海に囲まれた二つの帝国 第一章 出来事の時空間 第二章 明朝の成立―一四世紀1 第三章 海と陸の相克―一四世紀2 第四章 海と陸の交易者―一五世紀 第五章 商業の時代―一六世紀1 第六章 社会秩序の変容―一六世紀2 第七章 王朝の交替―一七世紀 第八章 産業の時代―一八世紀1 第九章 伝統中国の完成―一八世紀2 第一〇章 環球のなかの中国―一九世紀 おわりに 媽祖と明清の歴史 学術文庫版のあとがき
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