《概要》 津田梅子は、日本女性の知的解放にその生涯を捧げた。明治初期に、わずか7歳で日本初の女子留学生として渡米。帰国後、母国の男尊女卑の姿に新たな女子教育の必要性を感じ、アメリカの大学で学び直し、女子高等教育の発展に尽力する。生涯独身を貫き、そのキャリアを全うした梅子。良妻賢母が当たり前だった時代に、高学歴女子はどのような人生の選択を迫られたか。現代女性の生き方と照らし合わせながら論じる。
《目次》 はしがき 第1章 戦前の女子教育と岩倉使節団 一、日本の女子教育の歴史 江戸時代の女子教育/明治時代の初等教育/女子の中等教育/初めての高等教育 二、アメリカでの女子高等教育 女子教育の発展/地域性が色濃く出た女子高等教育/共学大学と女子大学での女子教育の違い 三、岩倉使節団の女子留学生 ペリー来航の衝撃/岩倉使節団の派遣/女子留学生の選抜/教育制度の向上に尽力した森有礼/文部大臣、森有礼 第2章 津田梅子の幼少期と渡米 一、父のアメリカ滞在と梅子への期待 梅子の父・仙の人生/仙のアメリカ滞在と帰国/明六社、キリスト教学、農社農学校、農業雑誌/梅子の幼少期の教育 二、ワシントンDCとランメン家 第二の父母、ランメン夫妻/少女時代の梅子の教育/帰国後の梅子 第3章 アメリカの大学へ留学する 日本での悶々とした生活/ブリンマー大学(Bryn Mawr College)/二代目学長ケアリ・トマス(Carey Thomas)/ブリンマー大学における津田梅子/モリス夫人の基金 第4章 帰国後の梅子と津田英学塾 帰国後の8年間/女子英学塾の創設/女子英学塾の設立当初の話題/もっとも重要な人物アリス・ベーコン/アナ・コープ・ハーツホン/女子英学塾の発展と梅子の活動/梅子の死とその後 第5章 山川捨松と永井繁子 一、良妻賢母を貫いた捨松 兄・山川健次郎の活躍/ヴァッサー・カレッジ(大学)へ入学/帰国後の苦悩と恋物語/大山巌との結婚/鹿鳴館の華とそれ以降/夫・巌と捨松の最期 二、音楽家、妻・母として生きた繁子 兄・益田孝と繁子の幼少期/共同生活とアボット家への寄宿/外吉との出会いと結婚/音楽教師としてのキャリア/夫婦生活と懐旧の旅/それぞれの死と残された子ども達 第6章 三者三様の生き方と現代への含意 三人の共通点と異なる点/現代の女性の学歴像/現代の女性の労働/年齢別と学歴別にみた女性の労働参加率/結婚を含めた女性のライフコース/独身にとどまっている理由/この先を予想する あとがき 参考文献
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