子犬のパッチには好きなことがいっぱいあります。アウー!と吠えること、ガシガシかくこと、ぱくっとくわえたりかじったり……。だけど嫌いなものもあって、それは新しい赤いレインコート。窮屈だしゴワゴワしてるし、変な匂いもする。でも寒い雨の日に、レインコートなしで外へ飛び出したパッチが感じたことは……?
本書は「ほらね、雨なんだからレインコートがあったほうがよかったでしょ」というおはなしともちょっと違うんです。みんな苦手なものはあるし、パッチの場合はレインコートなしでも遊べるけど、仲良しのルビーと一緒に遊んだとき、きっと「なるほど」と思ったことがあるんですね。「嫌い」「いやだ」だけじゃなくて、パッチだって納得すれば、ちょっぴり我慢できるのかも!?
かつてアニメスタジオでセル画や背景画を制作していたデヴィッド・メリングの、生き生きとしたタッチが素敵な幼年向け絵本シリーズ。子犬たちのしぐさと、なかがわちひろさんの気取らない快活な訳文がぴったりで、読み聞かせにも心地よさを感じる絵本です。 「こいぬのパッチ」シリーズは他に『こいぬのパッチとちいさいこねこ』『こいぬのパッチとみどりのもこもこ』が刊行中。青・赤・黄の3色の表紙デザインがおしゃれで、3冊とも手元に揃えたくなります。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ちょっぴり「がまん」してみた先には
イギリスのベストセラー絵本作家デイヴィッド・メリングが手がけるプレスクール絵本シリーズ。 主人公の子犬のパッチは、読者の園児達と同じように、日常生活の中でいろんな出来事を経験し、自分の周りの世界について学んでいきます。好きなこともあれば嫌いなこともあるし、はじめてのことだってたくさんあります。 本作「あかいレインコート」では、へんなにおいがして、ごわごわしていてきゅうくつなレインコートが嫌いなパッチが、あることをきっかけに自分からちょっぴりがまんしてみようかと思います。 そうしてがまんしてレインコートを着ることができた先には、うれしい、楽しい、大好きなことが待っていました。
【編集担当からのおすすめ情報】 幼い子ども達には、がまんすることは、なかなかに難しいことです。いや、大人だってそうかもしれません。 この絵本は、苦手なことをがまんしてみようと思うきっかけが自然。またその先に得られる喜びを描いています。「いやだ、きらいだ」という考えを、少し変えてくれる絵本だと思います。
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