毎年夏になると多くの親子が苦労していると思われる「読書感想文」の宿題。 そんな読書感想文の悩みに寄り添い、助けてくれる頼もしい一冊が登場しました。
表紙には「読書感想文」の文字はありません。「ことば変身辞典」という文字が飛び込んでくるので、一見、ことばの本なのかと思いますよね。本書は確かにことばの本なのですが、ことばを変身させるということが読書感想文さらには文章を書くときの大きな助けに繋がることが本書を読むと分かります。
この本の著者である、こな・つむりさんは、「はじめに」のところでこんな風に言われています。 “この本は「思ったことを言葉にするのが苦手」「言いたいことはあるけれど言葉が出てこない」「読書感想文を書くのがめんどう」と感じたことがある子どもたち、そしてその親御さんに読んでもらいたい本です。”
ここで言及されている、思ったことを言葉にする難しさというのは、大人でも日々感じている方も多いでしょうし、もともと持っている語彙がまだ少ない子どもたちならなおのことでしょう。
本書では、読書感想文でよく使われる感情を表す13のことばに対して、それぞれ約10個の言い換えのことばを紹介してくれます。たとえば「うれしい」というひとつの感情に対して、うれしさの度合いに合わせて「ときめく」「わくわく」「ほおがゆるむ」「天にものぼる心地」などのことばを紹介してくれたり、「感動する」ということばについても「胸が熱くなる」「ぐっとくる」など、大人にも表現のヒントになりそうなことばをたくさん紹介してくれるのです。
ひとつの感情を表すことばにこんなにバリエーションがある! ということを知るだけでも、子どもたちはワクワクしたり、新しい表現を使ってみたいと思うのではないでしょうか。
そして、3章「おうちの人とやってみよう」、4章「文章を書いてみよう」の項目では、実際に読書感想文の書き方についてしっかりとした手順とともに具体的なアドバイスがあります。
著者のこな・つむりさんは、元書店員であり、POP職人としてあちこちで講座もされているそうです。本のPOPというのは、限られたスペースの中で最大限にその本の良さを伝えるものなので、まさにどんなことばを選んで使うかが重要になってきますよね。その名人であるこな・つむりさんが、ことばの広がりや使い方を易しく子どもたちに伝えてくれるというのは、とても頼もしいですね。さらに、3人のお子さんの母親でもおられるということで、本の中にはそれぞれの子どもたちと読書感想文に取り組んでみた様子がマンガで表現されていて、こちらは、あるある! の共感ポイントが満載。実際の体験を通してのアドバイスは説得力があり、どこをどうしたら良いのかが具体的に分かります。
今年の夏は、この一冊を手に、読書感想文に向かってみませんか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
「読書感想文の書き方プリント」がTwitterで話題に 3人子持ち元書店員、POP職人が伝授
・読書感想文や作文を書くのが楽しくなる! ・語彙が増えて国語力が伸びる! ・読解力や会話力など将来に必要な力が身につく!
うれしい→ほくほく おいしい→まろやか 悲しい→肩を落とす がんばる→心をこめる
「この気持ち、なんて言えばいいの?」を解消 ありがちな言葉をちょっと変えるだけで、感情を言語化
<マンガも入ってわかりやすく!> その「気持ち」にぴったりな言葉、あります。
目次 1章 頭の中を整理してみよう 国語力はなぜ必要?/頭の中でいろいろ想像をしてみよう/日常会話も国語力を育てる大事なカギ/本当の気持ちに気づかせてくれる
2章 言葉の変身 うれしい/悲しい/おもしろい/おこる/おどろく/こわい/暗い気持ち/はずかしい/美しい/感動する/好き/おいしい/がんばる
3章 おうちの人とやってみよう 読書感想インタビューをやってみよう
4章 文章を書いてみよう 感想文を書いてみよう/あらすじよりも「気持ち」を言葉に/文章のふくらませ方/ 原稿用紙の書き方を知ろう!
5章 話し言葉で伝えてみよう 「書く」と「話す」言葉のちがい/共感ってなに?/聞き上手になろう/コミュニケーション上手になるコツ
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