週3度の透析、前立腺癌、冠動脈狭窄―― 立て続けに襲い来る病と闘う「知の巨人」が考える患者学とは? 京大法学部出身、異色の主治医と語り尽くす「現代医学の問題点」
【本書の内容】 「新自由主義」によって毒された日本の医療──カネさえあれば、どんな病気も治せるというのは幻想にすぎない! 自分自身が腎臓病患者で人工透析を週に3回行なっている「知の巨人」佐藤優が警鐘を鳴らす──本当の医療は、医者と患者が「共同体」を作ってこそ行えると説く、その理由とは? 対談の相手は、佐藤優氏の主治医である片岡浩史氏(東京女子医大病院)。 片岡医師は京大法学部を出たのちにJR西日本に就職し、駅員や車掌を経験したこともあるという異色の経歴の持ち主。しかし、だからこそ「純粋理科系」の医師とは違う観点で人間を捉えることができる異色のドクターでもある。
【著者略歴】 〈佐藤優〉1960年、東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了。2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『獄中記』(岩波書店)、『交渉術』(文藝春秋)など著書多数。
〈片岡浩史〉1970年、NY生まれ。腎臓内科医(東京女子医大 助教)。京都・洛星高校を卒業後、京大法学部に入学。卒業後はJR西日本で働くが、その現場経験を通じて、医療に携わりたいと思い、退社。鹿児島大学医学部で学ぶ。腎臓内科医として日々患者と向き合う一方で、腎臓病研究者として医学の進展を、社会保険診療報酬請求書審査委員や診療ガイドライン作成委員として日本の「医療の質」の向上を追求・模索している。医学博士。
【目次より】 はじめに──病と私 (佐藤優) 第一章 医師と患者の「共同体」をどう作るか 第二章「生き方の基礎」を見つけた場所 第三章 今の「医学部ブーム」が危ない理由 病と戦う──「異質なもの」との対峙 (片岡浩史) 第四章 新自由主義が日本の医療を荒廃させた 第五章 人はみな「死すべき存在」である
【佐藤優より】 私はキリスト教徒(プロテスタント)なので生命は神から預かったものと考えている。神がこの世で私が果たす使命が済んだと思うときに、私の命を天に召す。この世界に命がある限り、私にはやるべきことがあると考え、仕事と生活に全力を尽くすようにしている。 現時点で腎移植まで進むことができるかどうかは、分からない。腎移植が成功すれば、そこで長らえた命を自分のためだけでなく、家族と社会のために最大限に使いたいと思う。そこまで進めないのならば、透析という条件下で、できる限りのことをしたいと思っている。(まえがきより抜萃)
|