ボストンバッグを大事そうに抱く、挙動不審の男と会った河津三郎。 男を尾行し、怪しげなボストンバッグを巧みにすり代えた河津が見たものとは…! バッグを失ったと知った男は、上野公園内の五重の塔頂上で縊死をとげる…、 青年素人探偵の河津三郎が巻き込まれし奇妙な事件!
=幻の作品『悪霊』を収録= 推理小説の専門誌『新青年』に1933年(昭和8年)11月号から翌年の1月号まで連載された。 乱歩が途中で創作意欲をなくし、2号続けて休載した後、4月号に読者への詫び状を書いた上で連載中止。 その後も執筆が再開されることはなく、乱歩の死によって永遠に未完の作品となった。
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