
真っ赤な色がとても美しい表紙の牛は、会津若松の民芸店で生まれたあかべこ。 出来上がったばかりのあかべこがじーっと見つめていたのは、自分と同じ真っ赤な色をした会津磐梯山です。 秋のもみじで赤くなっているのです。 あかべこは、買われた家の座敷に置かれていても、遠くに見える磐梯山への憧れは強くなるばかり。とうとう自分で行こうと出発するのです。 知っての通り、あかべこは紙のはりこです。一体どうやってあんなに遠くの山まで行けるというのでしょう。 出会った動物たちに「連れてって」と頼むのですが、みんなはあきれて途中で放り出します。そんな事を繰り返すうちに、とうとう自分の足で歩き始めて…。あかべこの健気な大冒険は続きます。
この福島を舞台にした素朴で美しい絵本。長らく品切れ状態になっていたそうなんですが、2011年の3.11以降、読者から「福島の人へ贈りたいのでこの絵本を復刊してほしい」という声が寄せられるようになったのだそう。美しい福島を多くの人に知ってほしい、少しでも福島の人たちの励みになればという願いも込められ、20年ぶりに復刊されたのがこの絵本なのです。
確かに白から緑、そして赤と変化していく磐梯山、天守閣も立派な鶴ヶ城など福島の風景がふんだんに盛り込まれた内容となっているのですが、ダイナミックな構図やこだわりの印刷により浮かびあがる鮮やかな色の数々も本当に素晴らしい。そして、小さな歩みの中で成長していくあかべこの姿。その変化とともに迎えるクライマックス。夕日に染まる磐梯山とあかべこの姿に、無心で感動してしまいます。 同じくわかやまけんさんの『きつねやまのよめいり』と合わせて、今子どもたちに手渡したい、心のこもった絵本です。 サンケイ児童出版文化賞推薦作品。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

会津若松の民芸品店で生まれたあかべこは、もみじ色に染まった美しい磐梯山を見つめるうち、 自分と同じ真っ赤な色をした雄大な山に、どうしても行きたくなります。 そこで、「山へつれてって」と動物たちに頼むのですが、やがて自分の足で歩き始めて…。 日本の風物をふんだんに織り込んだ絵本です。
全国学校図書館協議会選定 第28回産経児童出版文化賞推薦

子供が(5歳のとき)気に入って、繰り返し読んであげました。
お土産店のはりこの赤べこが、紅葉している磐梯山をみて「ぼくと同じ赤…あそこに行きたい」と切に願い、ねこやカラスや亀などの協力を得ながら、一年かけて、最後は自力で到達、登頂するというシアワセ〜なお話です。
故郷が福島県のかたは必読ではないでしょうか。
私も旅行したことがあるので「ばんだいさん」や「つるがじょう」や「いなわしろこ」が出て来るところですっかり嬉しくなってしまいました。
震災前に読んだものなので、今読むとまた違った感慨があると思います。
(スウさん 40代・ママ 男の子7歳、)
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