伝統の応援練習は「バンカラ」か?「パワハラ」か?
長野県松本深志高等学校など、旧制中学校を前身とする地方の公立高校には、伝統的に生徒自身が校内活動を運営する「自治」の精神が現在も少なからず息づき、活動が続けられている。しかし時代の流れに伴って、例えばバンカラ風な応援練習がパワハラ視されるようになったり、文化祭や部活動で出る音が周辺住宅には騒音と捉えられるようになったり、女子生徒の増加に男子校当時に根付いた校風が追いつかなくなったりするなど、生徒自治のあり方も曲がり角を迎えている。本書では学校の側に位置する同校OBら《中の人》と、客観視できる外部の研究者ら《外の人》の視点をクロスオーバーさせ、教育の哲学や歴史、社会学、若者論、ジェンダーなど複眼的に自治の本質に切り込んでその意義を浮き彫りにし、未来を展望する唯一無二の研究プロジェクトの集大成。「生徒の自治の今」をあぶり出す、現役生徒による小説・映像作品も紹介。
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