2022年度は、「詩人が愛した花の世界」と題して、詩人と花・樹木との関わりに焦点を当てていきます。中国古典文学、とりわけ詩歌は『詩経』『楚辞』の頃より花や樹木とは切り離せないものでした。『詩経』は、草木に自然を代表させ、さまざまな比喩や象徴として詠じ、『楚辞』は「香草文学」と評されるほどに花や樹木を大きく取り上げました。同時に詩人らは、社会や自然といかに関わりを持ち、いかに生きていくかを考えるときに、花や樹木に思いを託すことが少なくありません。ただ自然の景物としてだけではなく、時に詩人らの伴侶として、時に人生を支える環境として存在しました。それらの花や樹木を詠じた漢詩の代表的作品を、詩人らの人生の歩みと共に、季節ごとにテーマを選び、鑑賞していきます。前期(4月から9月)は「春夏編」として、日本人にもなじみ深い桃や杏、蓮や蘭といった花々、柳や百日紅(さるすべり)などの木々を詠んだ詩を味わいます。
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