「慄くがいい、魔女たちの復活だ!」(1970年代フェミニスト運動のスローガン)。
著者は言う――「魔女といえば、ルネサンス期の魔女狩りのイメージからほこりを被った女性蔑視のイメージがあるが、現代女性にとって、あらゆる支配を逃れたポジティブなパワーを象徴しているのだ」 今日、女性たちはオンラインショップで魔術書を販売し、水晶が並んだ祭壇の写真をインスタグラムにアップし、集団でドナルド・トランプに呪いをかけている。魔女は至るところにいる。1970年代の先駆者以上に、現代のフェミニストたちは魔女に憑りつかれている。魔女は犠牲者でもあるが、不屈の反逆者でもあるのだ。 しかし実際、ルネサンス期ヨーロッパで魔女として告発された女性たちはいったい何者だったのか? 暗黒時代に目をつけられ、抑圧され、排除された女性のタイプとはどのようなものだったのか? 本書ではその歴史の検証とともに、魔女の3つの特徴をとりあげ、ステレオタイプのイメージなど、現代社会に残る影響について考察する。本書を通じて浮かびあがるのは、魔女狩りを産み出した社会が持っていた偏見に満ちたヴィジョン、そしてそれがそのままフェミニストやエコロジストに向けられるようになる社会の目だ。女性と自然のために闘うことは二重に呪われているが、いまこそ立ち上がるときが来たのである。
「16〜17世紀にヨーロッパを席巻した魔女狩りの跡をたどりながら、モナ・ショレは知られざる負の歴史にスポットをあてる。『目につく女性』が迫害される事実が隠蔽されてきたのは、魔女狩りが今日の社会構造の構築に寄与したからである。状況は今も変わらず、マイノリティは検閲や排除、憎悪や敵意の対象になっている。女性の独立や疎外、子どもを産まないという選択、加齢、社会に遍在する上下関係など、多彩なテーマを扱いながら、本書では言葉にされてこなかったものを名指し、『女性蔑視』という現代社会の災厄に抗議する。男性による男性のための社会は、果たして変わるのか ? 無意識のうちに女性に押しつけられてきたものの実体を暴き、抹殺された過去の歴史を掘り起こすことは、根源的に男性中心である現代社会とそのシステムを理解することにもなるのだ。 このままでいいのか、とモナ・ショレは読者に問う。本書を読み終えたとき、読者は怒りを禁じ得ないだろう。女性が生理について、男性からの暴力について、女性のみの所得の低さについて、白髪について、50歳を過ぎてみずからの欲望についてそれぞれ自由に語るとき、また子どもを産まぬと宣言するとき、さらにセクシャリティについて教えこまれてきたことを拒否するとき、これは政治参加そのものだという連帯が生まれる。本書で著者が強調する――『ステレオタイプや偏見に心が折れそうになったとしても、それは新たな道を切り拓くチャンスでもある。目ざめよ、あなたを魔女だという人は、あなたを讃えているのだから』」『リベラシオン』紙(フランス)
2019年フランス「フナック」賞(心理学部門)受賞作!
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