歴史は万人のものである――。「アマチュア」「しろうと」を自認しながら、歴史への深い情熱、飽くなき探究心を持ち続けた作家、野呂邦暢。邪馬台国から日露戦争まで、幅広い守備範囲で歴史雑誌に寄稿した史論・歴史エッセイ、そして死去の一年前からの、古代史雑誌の編集長としての仕事の一端など、単行本未収録の諸作から、その歴史への眼差しを浮き彫りにする。さらに、北部九州を中心とした郷土への指向と、現場感覚、合戦における戦略・戦術への洞察など、著者ならではの経験に裏打ちされた文章構成の面白さも堪能できる。文庫オリジナル。 〈解説〉中村彰彦
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