幸介のうちのメンバーは4人。お父さん、お母さん、ぼく、そして守り神のボンテンです。ボンテンは、幸介が商店街の福引きで当てたにじ色のたまごから生まれ、「乳母(めのと)」とよぶ幸介にいつもお世話されているあまえんぼかみさまです。ちょっぴりわがままですが、ここぞという時にはちゃんと守り神として活躍してくれます。
ある夏の日、幸介がボンテンをビニールプールで遊ばせていたら、二人の前に青い巻物が。その巻物には「かみさま合宿」のお誘いが書いてありました。ひとりで行きたくないボンテンは、幸介がついていくということでなんとかその気になり、幸介もしかたなく一緒に行くことに。
着いたところは、美しくも季節がごっちゃになっているような世界。そして、それぞれ個性的な小さなかみさま達がたくさんいました。そのそばにはまた、それぞれの乳母達がいて、てんてこまいしています。「みんな大変そうだなあ」と幸介が思っていると、合宿のまとめ役・指導神の雲麻呂がやってきました。そして、 「1泊2日の合宿をみんなで協力して楽しくすごすこと、それぞれの活躍に応じて点をつけ、最高点だった神には新たな神格がさずけられること」 を伝えます。小さなかみさま達に、めらめらとやる気の炎が燃え上がりますが、けんかばかりでひどいありさま。乳母となっている子ども達も、ここぞとばかりにかみさま達へのぐちを言い合います。すると突然、子ども達が全員さらわれるという大事件が! さあ、かみさま達、いったいどうするんでしょう?!
「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズでおなじみの廣嶋玲子さんによる「かみさまのベビーシッター」シリーズの3作目。これまでも数々のわがまま、あまえんぼうぶりで幸介を振り回してきた守り神さま“ボンテン”でしたが、今作では家の外に飛び出し、自分以外のかみさま達と協力し、自分の世界を広げていきます。あまえんぼうのボンテンが、危機を前にどんどん成長していく姿に読者も「立派になって……」と幸介とともに目を細めることでしょう。
お世話は本当にめんどうで大変そうだけれど、こんな守り神さま、うちにもいたら楽しいかも? と想像がふくらむ楽しいシリーズです。
(徳永真紀 絵本編集者)
かみさまの赤ちゃん・ボンテンに、合宿の招待状が届いた。甘えんぼで家の中でもお世話がたいへんなのに、外で集団生活だなんて…と乳母の幸介の心配はつきない。ボンテン同様、手のかかるかみさまが大集合の合宿…どうなる??
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