新宿ゴールデン街にあった詩人草野心平ゆかりの酒場と出合い、週1日だけのママさんになった著者がカウンター越しにみた人間模様。解説 ドリアン助川
新宿ゴールデン街と草野心平がわたしの先生だった あの店にいると、 いまと昔が ごちゃ混ぜになる
【内容紹介】 夜ごと酒飲みが集まる新宿ゴールデン街。そこに詩人草野心平ゆかりのバー「學校」があった。ひょんなことから店を手伝うことになった著者は、カウンターの内側から酔っ払いが織りなす風景を観察しまくった。生き方が顔に出るってこういうことか。大事なのは恋か、それとも鯉か。「あの日々があったから、わたしは40歳を過ぎて文筆家・イラストレーターになった」。 解説・ドリアン助川
【目次】 第一章 一年生の見聞録 ばっぷくばっぷく、と大人になるまで 11 酔うほどに禮子さんの声はやわらかい 清水さんの太い指がゆで卵をむく すてきな男たちは何度でもよみがえる 純子さんの剛気、栄子さんの自在 うっとりと夜は更け、そして事件が起きた アイスピックを握ると店内に緊張が走る 酒は景気よくたっぷり注げ、という教え もじゃもじゃは今夜ももじゃもじゃ語で歌う 阿部さんは陰気な風を連れてくる 黒ぶち眼鏡の奥にいつも、及川さんの安寧 油揚げをフライパンで焼いた夜 第二章 水曜日のスケッチ 水曜日の男、今村さんの豊かなおひげ 上野さんが語る戦後の東京物語 ドン・ノゾミは迫力と渋みを身に纏う 冒険とはなにか、西澤さんの場合 棟梁のバラ、林さんの指輪 第三章 昔の男ども ノラのママは、おっとりしていて働き者 キンちゃんは毎日五時にやってくる 厨房を油でギトギトにする檀一雄 まこちゃんに会うと、なぜか嬉しくなる 居候の達人だった辻まこと 山本太郎は大きな少年だった 古田さんのグローブみたいにぶ厚い手 茫洋と黙々と心平さんと過ごした時間 心平さん、貧乏のはなし 心平さん、喧嘩のはなし 心平さん、鯉および恋のはなし 第四章 禮子さんの恋 生まれる前から、もらいっ子になると決まっていた 秋田の鉱山でお嬢さんとして育つ 東京へ、その頃からもうわがままだった 堀辰雄に憧れて信州で過ごした夏 ミュンヘンに行った絵描き そして、あの恋のはなし 第五章 閉校の記 Xデーは、十月みそか はるか彼方のオホーツク あの世がすでに懐かしい 今夜も、新宿の空は濁った灰色 文庫版あとがき 解説 ドリアン助川
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