戦時中に日本に落とされた爆弾(不発弾)が主人公の物語です。土の中でずっと一人ぼっちでしたが、ある日一匹のもぐらと出会います。不発弾は日本の民家が立ち並ぶまちに落とされるのを嫌がったことから、爆弾の仲間たちから「よわむし」扱いされます。不発弾は、その話をもぐらに聞かせます。はたして、不発弾は本当によわむしなのでしょうか。もぐらは、そうは思いません。やがて、不発弾の身に危機が迫ったとき、もぐらは彼のために親身になって行動します。そのとき地上では、不発弾の近くに暮らす家族が、空襲の怖さを語り合っていました。不発弾ともぐら、そして避難した家族を通じて、戦争の悲惨さ、愚かさをあぶり出します。
【出版社より】 戦争の怖さ、悲惨さ、愚かさが、子どもにも実感をもって伝わる物語 太平洋戦争開戦から80年が過ぎ、戦争の記憶の風化が進んでいます。しかし、戦争が身近に感じられる出来事に思いがけず遭遇することがあります。米軍が落とした不発弾が見つかったときがまさにそうです。著者は、家族で避難する人たちの緊迫した姿をテレビで見て、戦争が終わっていないことを思い知らされます。もし不発弾が爆発すれば、令和生まれの子どもでもさえも戦争の犠牲者になるのですから……。この現実から目をそらしてはいけないというおもいから、この絵本は誕生しました。不発弾が戦争の正体を暴き、現代を生きる子どもたちにも、戦争がどういうものか、まっすぐ伝えます。
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