不朽の名作『ベルサイユのばら』を二十代で描いた天才漫画家が詠う、父、母、初恋、老い、そして「最後の恋」――。 私的で普遍的な11のテーマについて、身体の奥底から湧き上がる想いを短歌とエッセイで綴った珠玉の一冊。
「童女のような好奇心、少女のような行動力。この人はなんてまっすぐな人なんだ」 歌人・JT生命誌研究館館長・京都大学名誉教授 永田和宏氏推薦!
息ひとつ吸いてこの世に生まれ来る ものみな息を吐きて逝くなり
二十五歳の若い頃、『ベルサイユのばら』の中で、オスカルが死を目前にして亡きアンドレに問うシーンを描いた。 「苦しくはなかったか? 死はやすらかにやってきたか?」 あの当時でも、私にとっては真剣な問いかけだった。六十代では何故か、老いや死に対して居直れたつもりでいたが、七十歳を越えた今になって、まさに一層切実な問いとなりつつある。 (本文「老いと向き合って」より)
【目次】 父と戦争 母 短歌を詠む 山と私 旧西ドイツにて カンボジアにて 老いと向き合って 若者たち 初恋の頃 猫を看取る 最後の恋 解説 まっすぐに届く声 永田和宏
【著者略歴】 池田理代子(いけだ・りよこ) 漫画家、声楽家。1947年大阪府生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)在学中の67年に「バラ屋敷の少女」でデビュー。72年に連載を開始した『ベルサイユのばら』が空前の人気を博す。80年『オルフェウスの窓』で日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。95年、47歳で東京音楽大学声楽科に入学。卒業後はソプラノ歌手として舞台に立ち、オペラの演出も手掛ける。2009年、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与される。「塔」短歌会会員。2017年より熱海在住。
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