文学者は、いかに「日本の戦争」と向き合ったのか 昭和初期、日本が戦時体制に入ると、徳富蘇峰のように戦争を礼賛する作家たちが大量に出現した。 その一方で、反戦を唱える者は厳しく弾圧された。谷崎潤一郎も『細雪』の雑誌連載を 「戦時下に不適切な内容である」と、軍部に掲載を止められた(昭和18年)。 それでもこの弾圧に抵抗することなく、黙々と書き続け、戦後、大ベストセラーになったのだ。 著者が谷崎をはじめとする「戦争を賛美せず、抗議もせず、嫌がって関わらなかった作家たち」に今、 着目するのは、世界が第3次世界大戦に向かう空気に覆われているからだ。 戦争に背を向けた文学者たちの態度に、私たちは何を学ぶべきか。
(以下、目次より) 1 谷崎潤一郎と日本の戦争 亡霊の囁き/戦争を賛美した知識人と戦後を先取りした知識人/ 共同幻想/第3次世界大戦の予感……ほか 2 戦争に背を向けた知識人たち 谷崎と芥川の文学論争/芥川の死/妻を譲る/ 川端康成と三島由紀夫の真実/作家と女たち……ほか 3 漱石山脈 言論弾圧の時代/スキャンダル/文学者仲間たち/ 1万倍のインフレが起きた……ほか
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