あるピアノがひとりの少女と出会う。ピアノは「メロディ」と名づけられ、ふたりはいつも一緒だった。しかし少女が成長するにつれ、メロディは弾かれることが少なくなる。長い年月が経ったある日、作業員がやってきてメロディは連れていかれてしまい……。
※国語の教科書(小学校3年生)掲載作品です。 ※英語訳つきです。
(だれが ひいてくれるのかしら) くるひも くるひも まちつづける ピアノの まえに、 あるひ ちいさな おんなのこが あらわれました。
「この ピアノが きにいったかな?」 「この ピアノも わたしのことが だいすきみたい! ! 」
おんなのこは ピアノに 「メロディ」と なまえを つけました。 (わたしは せかいで いちだいだけの なまえのある ピアノ) メロディは、うれしくて たまりませんでした。
うれしいことが あったとき、かなしいことが あったとき、 おんなのこは、いつも メロディを ひきました。
でも、おんなのこが ちゅうがくせいになり、 こうこうせいになると、 メロディと すごす じかんが だんだんと すくなくなり…
この絵本を、世界中のピアノと、ピアノを愛するすべての人に贈ります。
■著者について 作:くすのき しげのり 児童文学作家。1961年徳島県生まれ。鳴門市在住。絵本『おこだでませんように』(小学館)が、2009年に全国青少年読書感想文コンクール課題図書に、2011年にはIBBY(国際児童図書評議会)障害児図書資料センターが発行する推薦本リストに選出される。同作品で第2回JBBY賞バリアフリー部門受賞。教科書掲載作品『ええところ』(Gakken)『ふくびき』(小学館)『ともだちやもんな ぼくら』(えほんの杜)『しょうじき50円ぶん』(あかつき教育図書)などをはじめ、『あなたの一日が世界を変える』(PHP研究所)『Life』(瑞雲舎)『わたしがはやくねるわけはね……』(小学館)など200作品を超える著作は海外でも広く読まれている。
絵:佐竹 美保(さたけ・みほ) 富山県生まれ。SFやファンタジーの分野で多くの本の装画や挿絵を手がけ、内外の作家から厚い信頼を寄せられている。絵を担当したおもな作品に『三国志』『西遊記』などの中国古典シリーズ、『虚空の旅人』『蒼路の旅人』『風と行く者』などの「守り人」シリーズ、「魔女の宅急便」シリーズ、「十年屋」シリーズ、「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ、「ハウルの動く城」シリーズ、絵本『ヨーレのクマー』ほか多数。
主人公はピアノです。その時々のピアノの気持ちが伝わってきて、思わず、感動してしまいました。あとがきにもありましたが、これはピアノだけじゃなく、他のものにもあてはまりそう。長く自分と一緒にいてくれる物を頭に浮かべました。大事にしたいと思います。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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