
「わたしのもの」と「誰かのもの」 両者のスキマから社会を捉え返す。 解説 鷲田清一
=== これは「わたしのもの」ではなかったのだろうか。調査地でのある出来事から、私的所有の感覚がゆらぐ経験をした著者は、所有への違和感を抱きつつエチオピアの農村へ向かう。畑を耕す牛、畑になる穀物、台所道具、生活する人々など、ミクロなものに目を向けて調査していくなかで見えてきたものとは? 作物は頻繁に分配され、持てる人から貧しい人に与えられる。土地を所有することと利用することの関係。国家による「土地」のコントロール。様々な角度から私的所有をめぐる謎を掘り下げていく。気鋭の文化人類学者による鮮烈なデビュー作。 ===
たびたび日本とエチオピアを往復するうちに、私自身がしだいにデータをとるための「調査」という型から解き放たれていくようになった。村人とともに日々を過ごす。そんな時間が積み重なっていくと、何かをこちらの尺度から「調べる」のではなく、人びとの暮らしのささやかな営みに目が向きはじめる。・・・・・・気がついてみれば、村の生活のありとあらゆるモノが、この「所有」という問いとつながっていた。【はじめに】より ===
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