「うみには まものが いるんだよ。 えものを とりすぎると まものが あらわれるからね。 よくばったら いけないよ」
男の子は、ひとり、舟に乗って、 ばんごはんをとりにいきました。 きょうはなにがとれるかな…。 つかまえた! 大きなうつぼがかくれてた。 これなら、家族みんな、おなかがいっぱいだ。
でも、もっとえものをとりたいな、 つかまえた! 大きないかがかくれてた! これなら、あしたまで、おなかがいっぱいだ。 でも、もっとえものをとりたいな…。 つかまえた! 大きなくじらがかくれてた……
えものを とると、そこには、ぽっかり 白いあな。とればとるほどあながあき、 あながいくつも組み合わさると、 あれれ、おおきな顔があらわれた?
海にくらす人びとにつたわるまものの話を ちょっぴりふしぎな切り絵で表現した、 読み聞かせにぴったりの創作絵本。
関野吉晴と共に「新グレートジャーニー」で インドネシアから石垣島を手作りの舟で渡った 著者が、東南アジアのスールー海で出会った 漂海民バジョの暮らしぶりや インドネシアのマンダールに伝わる魔物の話と、 サンゴ礁の海がみるみる干上がって 舟が動かなくなった実体験から創作した ユニークな絵本。 読み聞かせにもぴったり。
初めて読む作家さん。色鮮やかな表紙にひかれて読んでみました。独創的な切り絵で、ページをひらくたび、目をうばわれました。色もきれいで、デザインもユニークで、素敵です。なにより、アッと驚くような、隠し絵がおもしろい! 海辺に住む人たちの民話のようなお話にもぴったりあっていて、ひきこまれました。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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