もあい(模合)、面白すぎる! 沖縄の庶民金融である「もあい」は、庶民を支えるユイマール(相互扶助)か、それともただの飲み会か?!文化人類学者がフィールドワークで出会った驚きの模合の数々。沖縄社会を支えぐるぐるまわしてきた模合の過去、現在、未来をさぐるユニークな沖縄現代史。 模合をやっている人も、やったことない人も、誰かに話したくなる「はなしのタネ」がたくさん詰まっています。
※もあい(模合)は「頼母子講・無尽講」と呼ばれ日本全国にあった慣習でした。沖縄では、現代も庶民金融であり相互扶助、親睦グループとして、盛んに行われています。
■「模合」にヒミツってあるの?《「はじめに」から要約》 沖縄で暮らしている人なら、こういう光景を目にしたことがあるだろう。 レストランで賑やかにひとしきりおしゃべりしていたかと思うと、おもむろに財布や封筒からお金を取り出して集めだす女性たち。居酒屋でビール、泡盛を楽しそうに飲みながら、集められたお札を数える男性たち。よくみれば、手元のノートに何やら書いている人がいる。やがてそのお金はみんなが注目しているなか、おもむろに特定の人に渡される……。べつに怪しい取引ではなく、沖縄のあちこちで、ほぼ毎日繰り広げられている光景である。それは「模合(もあい)」と呼ばれる、沖縄では誰もが知っている「慣習」である。長年模合に参加してきたという人もたくさんいるだろう。「ただの飲み会なのに何を調べるの?」「模合になんのヒミツがあるの?」多くの模合は楽しい飲み会や食事会であり、なんのヒミツもないようにみえる。模合に参加してどんなに目を凝らしても、楽しく飲食している人たちがいるばかり。「ただの飲み会」と思われている「模合」だが、実は様々な歴史的変遷をへて、現在の姿となった。 本書では、第一章で、世界のなか、そして日本のなかでの沖縄の「模合」の位置づけを考え、第二章から第四章までは、琉球王国時代からつづく「模合」の役割をまとめてみた。いわば「歴史編」である。 第五章から第一〇章までは、いよいよフィールドワークから見えてきた模合の諸相をまとめた「現代編」である。現在の模合に関心がある方は、ここから読んでいただいてもいいかもしれない。そこから見えてきたものは、実にさまざまな理由で模合が始められ、いろいろな人びとが模合を通してつながっている姿だ。 第一一章と第一二章は、沖縄の模合のこれからを考える「未来編」である。模合の最大の危機ともいえる新型コロナウイルス感染拡大は、模合をどのように変えたのだろうか。また最近、コロナに関係なく、沖縄の若者は模合をやらなくなっているという話をきく。若者が模合をやらなくなると、模合はどうなってしまうのだろう。 それでは、いま模合をやっている人も、初めて模合と出会った方も、みんなが知っているようで知らない「模合」をめぐる旅に、これからお付き合いいただきたい。
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