ある日、トムは市場で小鳥に心を奪われ、父親に買ってもらった。その日から、トムは小鳥をそれは大事に育てた。えさをやり、いっしょに遊び、似顔絵を描いて見せてやった。けれど、小鳥は狭い鳥かごの中で、元気をなくし、日増しに弱っていった。羽が抜け落ち、ぐったりと鳥かごの底に横たわった。トムはなんとか小鳥と心をかよわせようとした。そして、小鳥が広い大空のもと、仲間や子どもたちのいるところへ帰りたがっていることを察する。愛しくてたまらない小鳥だけれど、でも……。トムはとうとう、鳥かごの戸を開け、窓をあけはなった――。本当の愛情、相手を思いやる心を、静かに、けれど力強く描いた字のない絵本。トムの表情のイラストはどれも気持ちがひしひしと伝わってきて、いまにも少年の声が聞こえてきそうだ。絵本の醍醐味がしっかり味わえる秀作。
表紙の葉っぱの描き方がとても丁寧で美しかったのでこの絵本を選びました。タイトルの描き方も版画を利用した感じでビシッと決まっているのが格好良かったです。大きめな画面が迫力があって気に入りました。コマ割りがとても上手なのも感心しました。時がないので自分で好きなようにストーリーを組み立てられるのが楽しかったです。主人公がどんどん小鳥に夢中になっていく様子が愛らしかったです。 (なびころさん 30代・ママ 女の子2歳)
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