マイコンじゅくに通いはじめてから、すっかりおかしくなったケン太。鬼太郎とねずみ男は、そのなぞをつきとめようとマイコンじゅくへ。
【内容】
サラリーマンの山田さんが購入した土地は、妖怪豆狸が住んでいた。不気味に思った山田さんはねずみ男に相談するが、適当な処置をなされ、そのまま家を建ててしまった。その後、小学生の息子ケン太は、親の期待を一身に受け、「マイコン塾」に通わされる。厳しい先生と機械に容赦なくしごかれる過酷な塾通いですっかり参ってしまったケン太を見て、山田さんは再びねずみ男に問題の解決を依頼するが…
おなじみ、ゲゲゲの鬼太郎が大活躍する、PTAに読ませたい絵物語。
【感想】
教育熱心なあまり、子どもを過酷な状況に追いやる親の話は、いつの時代でも通用する普遍的な問題だ。この作品は、1983年に第1刷が発行されているが、30年以上たった今でも十分に、(お化け以外の)恐怖を感じられる名作。
マイコンとは、「非常に小さなコンピュータ」の意味で、昔は電化製品の最新式のものなどに搭載されていると、「すごく性能のいい、最新式!」という宣伝効果があったようだ。2018年現在では、ごく一般的にみられるものだから、その辺は書かれた当時の時代を感じさせる。
しかし、マイコンを「スマホ・アプリ塾」とか、「ネット教育塾」、「ツイッター塾」などと、最近の通信機器に置き換えても、作品の主張するところは変わらない。
子どもにいい教育を受けさせるために、最新式の教育方法や機器を導入して、人間の体力や理解力を超えた努力を強要した結果、大事な子どもが廃人のようになるのは、今も見られる現象。大概の親は、子どもの様子がおかしくなったら、気が付いて改めるだろうが、中にはそのまま「根性を出せ!」と追いつめてしまい、悲惨な結果を招くケースも。
いろんな意味で、考えさせられる作品。子どもを持たない私には、シンプルなメッセージに感じるが、子どもを持つ人は、結構複雑な気持ちになる作品だと思う。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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