戦争の傷あとが残る40年前のドイツ。虐待する母の元を離れ,児童保護施設でくらす少女ハリンカの,ひたむきに生きる姿をえがく。
時代は1952年。ハリンカは12歳で児童ホームで暮らしています。
母親からは虐待を受け、母親代わりのルーおばさんに会うのを楽しみにしています。
仲の良い友だちもなく児童ホームで暮らすハリンカ。おばさんに会うための旅費のために、募金の一部は盗むのがとても切なく感じました。
YA作品を読むようになって気付いたのは、さえら書房の作品が多いこと、社会派の児童書を積極的に出されている出版社ですね。
夫もこの作品を読んだのですが、募金からお金を盗むハリンカが悪い子なのかどうか?ということ。私としてもこの状況下に置かれていたら、
どのように自分の気持ちを保っていくのかはわからないところです。
池波正太郎の小説の中に「人は良いことをしながらも悪いことをする」というような言葉があったように記憶しています。
その行為そのものは悪いことなのですが、その一部の行為だけで安易に悪い子と判断ができない話でした。
前半はとても辛い話のようで救いがないように感じたのですが、結末が暗いままで終わらなかったのでほっとしました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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