本が大好きなカタツムリのエイヴォンは、本を閉じた後につぶやきます。
「あーあ、ぼくの人生に冒険なんてありっこない。」
そして思うのです。
「今までぼくは冒険できなかったし、これからもそう。本に出てくるみたいな冒険ができないんだったら、ぼくは死ぬまで不幸なカタツムリのままだ。」
だけど、エイヴォンは出会います。エイヴォンよりもずっと小さなアリ、エドワードに。エイヴォンとエドワードは「冒険を探すための冒険」に出発することになり…。
「はじまる」前の「はじまり」を見つけるための旅は、冒険ではないのだから、ドラゴンも出てこなければ、目的地だって検討もつきません。それどころか、エイヴォンの歩みは恐ろしく遅く、エドワードはゆっくり歩くことがつらくて仕方がありません。この旅は一体どうなるのでしょう。冒険にたどりつくのでしょうか? 冒険じゃない旅に意味はあるのでしょうか?
…ところが。エイヴォンとエドワードの小さな歩みの先々に、素晴らしい発見と気づきが次々に訪れます。
「ぼくはこれまでずっとドラゴンの姿をしたドラゴンしか探してなかったんだ。」 「一日で世界が変わる、それが冒険というものです!」 「詩がぼくたちのゴールを教えてくれるの?」 「創造性っていうものはちがいを生み出すね。ぼく、今まで知らなかった」
二人のいる世界は、大きな空に囲まれた、ほんの小さな枝の周り。だけど、「はじまり」と「はじまりのおわり」と「はじまり」を繰り返しながら、徐々に冒険の中心へと向かっていくのです。アリ族の歴史ある行進曲とともにね。
すすめ、すすめ おやまあ、あら、まあ。 すすめ、すすめ。 あら、あら、おやまあ、おやおや、まあ。 あらあら、おや、まあ、おや、おやまあ。 すすめ、すすめ、すすめ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
カタツムリのエイヴォンは本が大好き。本の中では色んな生き物たちが冒険をくりひろげ、そして冒険を終えた生き物たちは、みなとても幸せそうです。「ぼくも冒険をして幸せになりたい」。そう考えたエイヴォンは、思慮深いアリのエドワードと、冒険の旅に出ます。とぼけた味わいの掛け合いを続けながら枝の上を進む2匹を様々な不思議が待ち受けます。はたしてエイヴォンとエドワードは無事冒険を終え、幸せになれるのでしょうか!
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