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歌舞伎の名作をあでやかな絵で楽しむ歌舞伎絵本第3弾。『菅原伝授手習鑑』は、天神様として親しまれる菅原道真の、涙なくしては見られないファンの多い演目。
“菅原道真”のことも、彼がのちに≪学問の神さま≫になったことも知っていましたが、
歌舞伎にこんな彼の物語があることは知りませんでした。
タイトルは『菅原伝授手習鑑』なので、道真の書道家としての物語なのかと思いきや,むしろこのお話は道真とかかわりの深かった親子の物語であるような気がします。
道真が見つけた三つ子、梅王丸(道真に仕えていた)、松王丸(道真の失脚をたくらむ「時平公」に仕えていた)と、桜王丸(斎世親王に仕えていた)は、それぞれの立場から不幸な兄弟の別れを迎える波乱万丈の物語でした。
ラストのほうは松王丸の本心がわかり、涙なくして読めませんでした。
橋本治さんの物語の描き方がとても素晴らしいので、1つ1つの場面がよく伝わってきて面白かったです。
歌舞伎の中にこんなにドラマが描かれていたとは!
江戸の民衆に愛されていた娯楽だったことを改めて感じさせてもらいました。
岡田嘉夫さんの歌舞伎絵もものすごく素晴らしいです!!
見ごたえたっぷりです。
絵本にしてはやや長いお話なので、読み聞かせに使うのは難しいですが、中学生・高校生くらいのお子さんたちにブックトークですすめてみたいなぁと、思いました。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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