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激動の幕末。京都を舞台に、働く子どもたちの姿を通して“職人の誇り”“心意気”が感じられる作品7編です。
この作品は1988年に出版されています。
挿し絵は降矢ななさん。
変動の時代に生きた10代の少年少女たちの生き様を、色々な角度から覗かせてくれる短編集でした。
筆職人の弟子の冬吉、鉾車職人の弟子の三吉、桶職人の弟子の太吉、材木屋の若者組の隆吉・文七・小太郎にあや、
やっと実った“夏だいだい”を懐に役人ともめて家を出て行った兄を探す弁吉、幕府にやとわれ東北から半強制的に京の町の防犯係に駆り出されたマタギたち、あの有名な寺田屋で女中として働く拾われっ子のりつ。
尊王攘夷運動が起こり、世の中が荒れ始めた幕末の中で、それぞれの場所で懸命に生きていこうとする若者たちの姿がいました。
衣装だいたい15から30ページの短いセンテンスの中で、それらの物語はしっかり確立していて、全体の流れも読みやすかったです。
新選組やら、薩摩の西郷隆盛やら、長州の坂本竜馬やら、みんなの意志を背負い目立った活躍をした歴史上の人物たちとは別に、こうしたごく一般の人たちも確かに「生きていたんだ」ということが伝わってきました。
とても読みやすい文章なので、この時代に脅威のある人はぜひ読んでみたもらいた1冊です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子14歳)
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