
激動の時代をたくましく生き抜いた少年Hと家族が巻きおこす感動の物語。
昭和初期の神戸。好奇心が人一倍旺盛な「少年H」こと妹尾肇は、毎日遊ぶことに大いそがし。洋服仕立て職人のお父さん、クリスチャンのお母さん、やさしい妹、ゆかいな友だちに囲まれて、幸せな毎日を過ごしていたが――。 ヨーロッパで第二次世界大戦がはじまり、近所の兄ちゃんがスパイ容疑で逮捕されるなど、Hのまわりでも不穏なできごとが起こりはじめる。 軍事統制が厳しくなり、おかしいことを「おかしい」と言えない日々の中、Hは世の中に疑問を抱きながらも現実を見つめ、神戸二中に入学する。

少年Hを読んだのはもう何年も前のことです。けれども神戸が舞台だったことでひじょうに印象に残っています。私は40代の頃、神戸の街で若い女性と遊び回っていたのです。だからこのお話は決して忘れることができません。これは何よりも面白くて、ホットな気持ちにさせてくれるお話です。そしてあらためて家族とは何か、人生とは何かを考えさせてくれます。ほんとに素晴らしい作品だと思います。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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