エルサレムで暮らす10歳の少女・ルールデスと、その家族、友達、近所の人たちの日常を紹介する写真絵本。
東エルサレム旧市街の、古い街並みとはまるで対照的な明るく近代的で、ファンタジックな少女の自宅。豊かな暮らしが垣間見える、きちんとした家ですくすく育った少女は、積極的に自分の好きなことを追求し、どんどん未来を切り開いていくようだ。
イスラエルの占領下にある「パレスチナ自治区」(国ではない)のこと、何年も続く紛争のこと、3つの宗教の聖地のこと。日本で接する報道は、戦争などきな臭いものが多いから、危険な地域という印象をもっていたが、ここで暮らす人々は、お互いに可能な限り違いを認め合い、下手に争いが起こらないように譲り合って暮らしているように見えた。
ルールデス嬢の一家はクリスチャンなので、お祈りの様子なども写真で見られた。私もクリスチャンなので、ベツレヘムやヘブロンなど、聖書でお馴染みの地名が写真で見られて興味深く、現在も普通に人々が現代的に暮らしている様子が垣間見れて面白かった。
学校の様子は、建物は古いが、中身は現代的。日本でもあるようなブレザー型の制服を着て授業に参加している。仮装大会など楽しいイベントもあり、みんな張り切って思い思いの面白い恰好で参加して、ウケ狙い度100%。さすが女子校。
紛争・問題以外の楽しく明るいパレスチナが見られます。
巻末の解説や本文中に、このヨルダン川周辺地域の問題が、わかりやすく簡潔に書かれているのもありがたい。
筆者は1990年からパレスチナなどの戦争の現場を取材し、パレスチナはほぼ毎年通っている(2014年の情報)というので、信頼できるドキュメント本でもある。
いい年こいた大人になったけど、自分は世界の状況を全く知らないから、こういうわかりやすい本は大変ありがたい。