トルコの世界遺産に登録されているサフランボル旧市街。伝統的な家で暮らす一家の末っ子の少女の日常を紹介する写真絵本。
職人の父、宿を経営する母、大学生の姉、高校生の兄と猫のドーマン。学校、モスク、無料の文化学校、親戚の家など、たくさんの親類縁者と程よい距離感でもって温かく暮らす少女は、物心両面で素晴らしい恵みを受けていると思った。
小学生だが、家の仕事を率先して手伝って、お客さんと交流もあるためか、しっかりしている。笑顔も素敵で、人懐っこいため、周囲の人たちから愛されている様子が伝わってくる。家の手伝いをしたり、学校以外の人間関係の中で学ぶことで、質の良い成長ができるのだろうか。
旧市街ということもあり、写真に写る風景はどれも美しく、主人公の住んでいる家も客商売だけに美しく清潔だ。自然と歴史・文化に囲まれ、すくすくと育つ素敵な子ども時代。世界には、こんなに素晴らしい場所があったと思ってうれしくなった。
お金持ちというわけでもなく、特別な境遇というわけでもないが、本当に物心両面で豊かだ。本当の豊かさとは何かを考えさせられる。