事務所の下にある喫茶店で、盗難事件の被害者にあい、早速調査に乗り出したおしり探偵。闇夜の路地裏で、女性ばかりが襲われる卑劣な犯罪は、おとり捜査の結果、意外な人物が犯人だった。
毎度、キャラクターが全員濃い我らがおしり探偵シリーズ。今回も、読者を巻き込んで調査が進む。迷路や人探し、謎解きなど、ボーっとしている暇はない!
今回は特に、女性のキャラクターが個性的で、それぞれの性格や来し方が一瞬で読み取れる表現力が素晴らしかった。人が好きで、人を観察し、分析し、特徴をつかみ表現する力が、ものすごい。話に関係ない脇役や風景の一部のような人たちにも、人生があり、物語になる可能性を感じる。そして、読者はそれぞれ好き勝手に登場人物を使ってお話をこしらえる。
この本は2本立て。どちらの話も喫茶店がうまいこと絡んでいて微笑ましい。ちょっとした人間ドラマで心温まる結末がうれしい。
ギャグも強烈だが、それ以上に人物に対する愛情が温かい。