この絵本の作者tupera tuperaさんは亀山達矢さんと中川敦子さんのユニットで、私は「絵本界の木皿泉」と小さく呼んでいたりします。
tupera tuperaさんの絵本の魅力はなんといってもその発想力だと思います。
その名を一躍高めた『パンダ銭湯』にしろ『わくせいキャベジ動物図鑑』にしろ、どこからそういう発想が出てくるのか不思議なくらいです。
こういう絵本を子供たちが読んだら、頭も心も自由に放たれるのではないでしょうか。
そうして自由になった頭と心は、また新しい創造を生み出す、そんな気がします。
この『まわるよる』という絵本も随分奇抜です。
夢のお話というのはたくさんあるでしょうが、この作品は考えてみればとっても怖い悪夢のお話です。
だって、自分が回転ずしのネタになって回るのですから。
ほうら、タイトルの意味がわかったでしょ。
ある夜、くいしんぼうのふとしくんは「早く寝なさい」と叱られながらベッドにもぐりこみます。
この時、ふとしくんの掛け布団の柄をよく覚えておいて下さいね。
だって、これってマグロの赤身柄なんですもの。
そう、ふとしくんは寿司ネタになって回転ずしの回るレーンで回っているではないですか。
しかも、お客さんはいつもネタになっているはずの魚たち。
マグロネタになったふとしくんはどうなってしまうのでしょうか。
やっぱりこのお話はかなり怖い。
怖いけれど、どこかおかしい。
そういう発想がtupera tuperaさんの魅力だと思います。