小さなおばけシリーズ。ソッチが主人公のお話としては2作目。
飴屋の階段に棲んでいる小さな女の子のおばけ、ソッチは、小学校一年生になって学校に通いたいと思っています。おばけは年の取り方が人間と違い、本人の努力次第で大きくも小さくもなります。ソッチは頑張って読み書き、簡単な計算を身に着けました。
飴屋のおばあさんは、ソッチを学校に入れてもらおうと、直接先生たちに頼みに行きますが、なかなか入学が許可されません。そして…
おばけだから、他の人間の子どもと違うからといって入学を拒否する先生方の対応は、童話というより、もっとリアルな「入学拒否」の問題を連想させました。深読み過ぎなのかもしれませんが、学校や保育所などで、障害者や何か特別な事情のある人を受け入れないことがあると聞きました。
「特別な配慮が必要だが、うちはバリアフリーじゃないから」「何かあった時に責任が取れない」「専門教育を受けた教員がいない」「他の父兄から反対意見が出ている」…理由はいろいろあるようですが、拒否された側の人間の気持ちや現実の問題はどうなってしまうのでしょうか?
この童話では、「おばけ」だからいろいろ理由をつけて入学を拒否されています。最終的には入学ができるのですが、その間の揉めている先生方の様子が、現実社会の「責任とれないから入学拒否」の状況を思わせて、悲しくなりました。
みんなと同じでなければ受け入れてもらえない社会、みんなと同じことを強要される環境。それなのに、就職活動では個性や強みを要求される。矛盾した要求に答え続けなければならないストレスの中、どうやってのびのびと成長できるというのでしょうか。
本当はそういうテーマではない、楽しいお話だと思いますが、個人的にいろいろ考えさせられてしまいました。
ほかのおばけ(アッチ、コッチ)に比べ、ソッチはなにかと苦労が多いのかしら?!