グリム、アンデルセンでいくつも絵本を目にしてきたバーナデッド・ワッツの作品。
ワッツの絵はファンシーでまろやかで、毒気がないのが特徴だと思います。
物語の設定と違和感があっても許せてしまう不思議な作家です。
でもこの『イソップのお話から』を見てもう一つ感じました。
ワッツは挿絵作家ではなくて、ストーリー・アーチストなのです。
一連の絵の流れの中で、作り出す世界がワッツの持ち味なのです。
この絵本には多くのこだわりがあります。
色彩に味わいのあるワッツが、白黒の素描を多く取り入れていて、新たなチャレンジを感じます。
絵をだいじにしてきたワッツが、絵本づくりにこだわり、挿絵、一篇一篇のお話の装飾に実験的な作品をちりばめています。
イソップの毒気に合わないワッツは、この絵本ではちょっと失敗してしまったように感じました。
収録されているお話の選定も、イソップの代表作を少し避けたような気がして、この絵本をマニアックなものにしているようにも思いました。
ワッツファンの皆さんはどのような評価をされるでしょうか。