「カゲロウの一日」
これが原題の直訳です。
どうして邦題では「最高の」と感情を入れたのでしょうか。
それはきっと、一日を即物的に俯瞰するのではなく、感動をもって受けとめたいという強い願いによるものなのでしょう。
カゲロウは幼虫期を、半年から1年の間水中で過ごし、地上で飛び回ることができるのは、たったの1日だというのです。
長い下積み生活を経て、1日だけ死ぬ間際のご褒美が与えられるのでしょうか。
そう考えると切なくなります。
子どもたちは事実として、科学的に理知的にそのことを認識するのでしょう。
でも、大人は、特に高齢者は、この絵本にとても深いものを感じるに違いありません。
カゲロウは、決して余命1日だとは自覚していないに違いありません。
ただただ「最高の一日」を心に刻んでいくのです。
そう考えると、自分にとって今が「最高の一日」でなければいけないと思えてきます。
最高の一日を先送りにしていたら、最高と思える日は来ないかもしれません。
今まで培ってきた過去を、燃焼させることを考えましょう。
そう簡単に消えてしまうことはないと信じながら。