柳田邦男さんが、戦争と平和をテーマにお薦めされていた作品。
野坂昭如さんの戦争童話集沖縄編です。
読み物の分量ですが、美しいスケッチ画が静謐な印象です。
後半は英訳版。
その意図を感じます。
壮絶な沖縄戦の様子を、ウミガメと少年の視点から描いてあります。
毎年浜辺に卵を産みにやってくるウミガメ。
その目に映る変化が粛々と語られます。
そして、その様子を見ていた少年。
爆撃を心配して、砂地に埋められた卵を救出する少年が、
割れた卵に取った行動とその後。
命の象徴ともいえる卵をめぐって展開する運命が余韻を残します。
粛々としたウミガメの生態が、人間の愚かな行動をくっきりと浮かび上がらせているように感じました。
小学校高学年くらいから、静かに感じてほしいです。