あったかそうな湯気を出しているおかゆのたっぷり入ったお鍋。
そんな美味しそうな表紙とは裏腹に、ハラハラドキドキするお話でした。
貧しい女の子が、森の中で出会った不思議なおばあさんに小さなお鍋をもらいます。
呪文を唱えると、なんと勝手におかゆが出来る不思議なお鍋!
そのおかゆの美味しそうなこと!
とろりとなめらかで、こっくりとまろやかで、ほんわりとこうばしく・・・
富安陽子さんの文章に、つい食べたくなってしまいます。
お話は途中からとんでもない展開へ。
おかゆはお鍋から溢れ、家じゅうに広がり、とうとう町の家々をのみこんで・・・
読み聞かせながら、読んでる方も聞いてる方も、一体どうなってしまうのかとハラハラドキドキ。
でも、すんでのところで間に合いました!
町の人たちも、怒るわけでもなく、お腹一杯おかゆを食べていてホッとしました。それだけ美味しいおかゆだったのですね。
銅版画で描かれたという挿絵は、全編を通して茶色とクリーム色で統一されており、このお話の雰囲気にピッタリでした。
とても細かい線の美しさと、版画独特の風合いが素敵です。
二匹のネズミも可愛かったです(^^)