主人公とおばあちゃんとの同居による楽しく素敵な時間に微笑ましい思いで読み進めました。
少し大人になった主人公と、おばあちゃんがぶつかる時期から私自身の思春期を思い出しました。
相手は、祖母ではなく両親でしたが、このおばあちゃんのように静かに見守るというよりは、狼狽し子離れの現実に淋しさを感じていただろうなと、今ならわかります。
おばあちゃんは、孫の巣立ちを理解していたと思います。
身近な人を失うと、必ず後悔事が胸に湧き立ちます。
主人公の悔恨の気持ちにも共感できますが、孫が家を出た後のおばあちゃんの一人の時間は、決して淋しいばかりではなかったのではと思います。
なぜなら、何にも替え難い幼い孫との濃密な楽しい時間の思い出を持っていた人なのですから。
息子が、巣立つときに淋しさよりも祝福の気持ちで、笑顔で見送ってやりたいと思います。
社会に飛び出していく息子は、きっと時に振り返り悔恨の情におそわれるやもしれませんが、父親になれば今の私の気持ちも理解できるでしょう。