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わたしのとくべつな場所」 みんなの声

わたしのとくべつな場所 文:パトリシア・C・マキサック
絵:ジェリー・ピンクニー
訳:藤原 宏之
出版社:新日本出版社
税込価格:\1,650
発行日:2010年09月24日
ISBN:9784406052870
評価スコア 4.53
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みんなの声 総数 14
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  • 読書は自由への入り口

     「ローザ」と相通ずる作品です。
     1950年代アメリカ南部の人種差別の実態が、差別された側の少女(主人公は作者)の目から語られています。

     お話の舞台は、テネシー州ナッシュビル。
     当時は、ホテル・レストラン・教会・遊園地には、ジム・クロー法という法律によって、人種を差別する看板が出され、アフリカ系アメリカ人を排除していました。
     さらに、「ローザ」と同様バスの座席は後方、人種分離の学校へ通わされたり、劇場でも後部座席ををあてがわれたり、公園の水飲み場も別などという侮辱を多々受けていました。
     こういう状況下で、アフリカ系アメリカ人は子どもたちを守るため、12歳までは一人で外の社会に出させませんでした。

     主人公パトリシアは、12歳になり初めて一人で今日外へ出かけます。
     目的地は、パトリシアにとって「特別な場所」。 
     さて、それはどこなのだろう?と読み進めていくと、次々と現れる人種差別の現実。
     こうまで徹底した差別を受けていたのかと、憤りと悲しみが湧いてきます。
     どんな状況でも、乗り越えられるだけの愛と尊敬と自尊心を身につけていたパトリシアは、負けませんでした。
     そして、目的地を仰ぎ見るパトリシアの希望に溢れたまなざしの中に真の力強さが伝わってきました。

     あとがきを読み、1950年代後半、ナッシュビル公共図書館運営委員会の議決事項に、感心しました。
     「知る」権利とうい基本的人権の一つが、この町で認められたと言うことの事態の大きさを感じます。

     パトリシアのおばあちゃんの「図書館は、・・・・よりも刺激的で面白く、たくさんのことをおしえてくれる」という言葉と、作者が、祖母やアンドリュー・カーネギーと共に「読書は自由への入り口」であると信じているという言葉に深く感銘を受けました。

    投稿日:2010/11/04

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    3
  • 「図書館、バンザイ!!」

    • てんぐざるさん
    • 40代
    • ママ
    • 埼玉県
    • 女の子16歳、女の子11歳

    私は個人的にアメリカという国があまり好きではありませんが、こと個人の自由の権利については「国として」先進国であり、素晴らしいと思っています。

    この絵本は黒人(差別人種)の女の子が主人公ですが、彼女がどんなつらい“差別”を受けながらも、一人で向かった先にあった「特別な場所」が≪図書館≫であったことが、私はとてもうれしかったです。

    いろいろな知識を教えてくれたり、
    自分では経験することのできない世界を見せてくれたり伝えてくれたりする『本の世界』を自由に見たり読んだりできる!≪図書館≫に入り、本を読む権利。
    そんな権利が、各種公共機関の中で、まず初期の段階で確立していたことに感動しました。
    やっぱり、本を愛する人たちは意気込みが違うんだな。と、思いました。

    ここ数年、「図書館」にまつわる絵本のシリーズがいくつか発行されていますが、今まで読んできたそんなシリーズのなかでも私は一番気に入りました。

    投稿日:2011/08/20

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    1
  • だれにでも自由に入ることができます

    • レイラさん
    • 40代
    • ママ
    • 兵庫県
    • 男の子17歳、男の子15歳

    2011年度読書感想文全国コンクール小学校中学年課題図書。
    黒人の子どもたちを主人公にし、本の楽しさをテーマにした作品シリーズから
    選ばれたことが、何だか嬉しいです。
    同シリーズの『ママ、お話読んで』、『ぼくが一番望むこと』、
    『ぼくの図書館カード』、『ママのとしょかん』もぜひ、あわせて読んで欲しいです。
    黒人の少女パトリシアには世界中でどこよりも好きな場所があるのです。
    今日はそこへ一人で出かけます。
    でも、社会はまだ人種差別が残る時代、パトリシアは理不尽な扱いに
    へこみかけますが、とうとう目的地に着きます。
    「だれにでも自由に入ることができます」の言葉の意味が重いです。
    少女の視点で描かれているからこそ、子どもたちにも共感してもらえそうです。
    1950年代、アメリカのテネシー州での作者の実体験に基づいた作品です。
    そのリアリティもしっかりと受け止めてほしいですね。
    PUBLIC LIBRARY:ALL ARE WELCOME.

    投稿日:2011/06/04

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    1
  • 人間の尊厳「自由」への第一歩

    有色人種差別があった頃のアメリカ南部ナッシュビルで、12歳になった
    女の子が一人の黒人として誇りをもって生きることに、身をもって
    目覚めた1日を描いた本です。

    その女の子パトシリアは、おばあちゃんと「とくべつな場所」と呼んで
    いるところに、生まれて初めて、一人で出掛けて行きます。

    バスに乗ると、有色人種と白人は座る場所が違い、いくら白人の場所に
    座る場所があいていても黒人は座れません。
    公園の噴水に圧倒されベンチに腰掛けようとすると、そこは白人専用の椅子...
    黒人お断りの立て札が出ているホテルにひょんなことから紛れ込んでしまい、
    白人たちの目に蔑まれ、小さな胸は張り裂けそうになり、くじけて、
    「とくべつな場所」に行くのをやめたくなりました。

    その時、おばあちゃんの言葉を思い出すのです。そして、とうとう行き着いたのでした。
    「公共図書館:だれでも自由に入ることができます」

    最初の見開き2ページまで、きっと読者の子供は単にお出かけの話だろう
    としか思わないと思います。でも、その後に、これでもかというくらい、
    ただ肌の色が黒いというだけで、しいたげられ嫌な思いをするこの状況を、
    例え国際結婚が増えたと言え、殆ど単一民族の日本人の幼稚園児や
    小学校低学年には、きっと完全には理解できないことでしょう。
    むしろ、色々と考えられるようになった小学校高学年・中学生以上が
    対象の絵本なんだと思います。

    その人種差別の話だと気付かせない最初の2ページの最後の部分の
    おばあちゃんの言葉が、この絵本の真髄なんだと思いました。
    「どんなことがあっても、胸をはって歩くんだよ」

    そして、行き着く先の「とくべつな場所」が図書館であってくれて、本当によかった! 
    知識を得ることは、時として、人間の尊厳である「自由」への一歩ですから。

    パトシリアにとって、おばあちゃんはよき導き手だったのでしょうね。
    この後に、黒人は立ち上がり団結し、アメリカは、有色人種法が撤廃
    します。きっとパトシリア達のような目覚めた黒人たちの団結が実を結んだのでしょう。

    これは人々の歴史の中で知っておくべき事柄の1つを、あえて絵本と言う形にして
    描いてくれた本だと思います。是非、一読してください。

    投稿日:2011/02/04

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    1
  • 図書館が開いた特別の場所

    パトリシアが楽しみに出かける特別の場所は図書館でした。
    何が特別なのか、何が彼女をうきうきさせるのかは後書きを読まないと判らないかもしれません。
    なにしろ、私にとって図書館はあたりまえの場所なのですから。
    それにしても、この話を通して1950年代の黒人の置かれていた状況を理解するには多少勉強しなければなりません。
    差別という言葉の方が今の私たちにとって特別なのですから。

    パトリシアは図書館にたどり着くまでに、様々な人種差別の壁にぶつかります。
    それだけに、公共図書館が先んじて全ての人に平等であったということは自分にとって素晴らしいことです。
    人を選別するようでは、「公共」ではないのですから。

    多少、学習絵本のきらいがないわけではありませんが、対岸の火事のような扱いで読んではいけないなと思いました。
    日本にだって差別はあったのですから。
    図書館、本の果たす役割の視点から子どもに説明するのも良いかもと思いました。

    投稿日:2011/01/12

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  • 人種差別が公然とされていた時代に

    主人公の女の子は黒人です。彼女にとって、とくべつな場所にでかけますが、その当時は黒人差別が公然とされている時代。バスの席も公園のベンチにも白人専用がありました。ようやくたどり着いた彼女のとくべつな場所とは…。

    投稿日:2022/07/18

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  • だれでも自由に入ることができます

    実話をもとにしたお話ということで、興味を持ちました。
    物語の中のできごとは、作者の子ども時代に本当にあったことなのだそうです。
    バスの中、公園のベンチ、ホテル、レストランなど、行く先々で、白人専用、黒人指定席という差別を見て悲しくなるパトリシア。
    それでも行きたい「とくべつな場所」。
    物語の最後で、その場所が明かされます。
    「だれでも自由に入ることができます」
    最後の一文に、感動しました。

    投稿日:2021/05/23

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  • 誰もが同じだけ大切な存在なのに。

    日本ではこういった肌の色による差別はありませんが、世界には人種差別がまだまだありますね。
    そういう異国の日常を日本の子供達が知る上でもよい本で、そして差別について疑問を持ったり考えたりする機会になるのではないでしょうか。
    誰もが自由に、そして同じだけ大切にされるべき存在であること、考えていかなければなりませんね。

    投稿日:2019/09/26

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  • 誰でも自由に入ることができます

    この本を読んで いろんな事を思い出しました
    私が中学二年生の頃 学校から 「橋のない川」の映画をみて部落差別のことを知りました
    えた ひにん と呼ばれ 差別されてきた事  身分制度により差別されていたこと   私はそのころから住井すゑさんの本をたくさん読み、なぜ? 差別があるのか考え続けてきました
    そして 今も同じ思いです

    この本はアメリカの1950年頃のお話しです 主人公のパトリシアは「あの場所」へワクワクしながらでかけます
    バスの中では「黒人指定席」に座らなくてはならず 差別に対して怒りを感じています
    公園のベンチにも 「白人専用」と書かれ 映画館も黒人と白人の座席が分けられていました
    彼女は 悲しい涙をいっぱい流しました
    「あの場所」とは 公共図書館: だれでも 自由に入ることができます

    おばあちゃんから「自由への入り口」 
    希望のつまった場所と教えってもらっていました

    この本はたくさんの人に読んで欲しい絵本です  
    そして 私たち大人は子ども達に伝えていくことが求められていると思いました

    人間は平等に暮らす 権利として憲法に書かれていること  学校でいろいろ教えてもらっていると思いますが・・・・

    しかし、今でも 差別があることは事実です  そのことから目を背けることなく  人間平等を伝え続けなくてはならないと感じています

    投稿日:2017/06/29

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  • 法で決められた自由

    • もゆらさん
    • 50代
    • その他の方
    • 神奈川県

     この絵本のほとんどを貫くのは、人種隔離です。
    タイトルでもある「わたしの特別な場所」公共図書館は、
    最後に迫るまで一切、明かされません。
    そこは、永い、長ーい年月の間、すべてが峻別され続けた理不尽から、
    やっと、やっとすべての人に開かれた自由の場所なんだと、
    表現したかったのでしょう。
    けれど私には、それがとても重い印象を受けました。

     ALL ARE WELCOMED、公立図書館ファサードに刻まれた銘。
    公共の図書館、教育の場は、みんなの共有の場です…。
    喜ばしいはずなのに、あまりにも切ない。
    読んでいる私がもし、主人公と同じ小学生なら
    深く理解することはできなかっただろうと思います。
    法で決められた自由の場、なんて理不尽な。

     評価?…難しすぎる。
    これは、歴史の事実を伝える絵本です。
    多くの方が読んで、多くの方に知って考えてもらえれば。
    読む価値のない本なんて、ありませんから。
    感謝

    投稿日:2015/04/16

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