カンタン・グレバンと言えば、「ウルフさんのやさい畑」「カプチーヌ」等でお気に入りの作家の1人です。
1977年、ベルギー・ブリュッセルレ生まれという若い絵本作家ですが、どの作品も高い水準です。
今回の舞台は、イスラム文化圏の何処か。
しかも、昔話のような雰囲気があり、時代も少し遡るような感じです。
物語は、オレンジが ひとつ、枝から落ちるシーンから始まります。
それが、大事件の発端になるのですが、それが次から次へと話は続いていくのです。
オレンジに止まっていた一羽の青い蝶が飛び立つ
⇒青い蝶が眠っていたネズミの鼻に止まる
⇒ネズミのくしゃみに商人を乗せたロバが驚いて暴走する
⇒ロバがラクダの群れに突っ込む
⇒ラクダの群れが市場に駆け込む
昔話にあるような連続性を持った話が続いて、それからは、逆にその犯人捜しが始まるというもの。
この奇想天外な話の展開に惹きこまれないはずがありません。
リズム感があって、ワクワクしながら、聞き入ることだと思います。
最後のオチも、こうきたかというもので、完成度の高いストーリーに仕上がっています。
絵の美しさは、いつもながらのもの。
それにしても、カンタン・グレバンの引き出しの多さには感銘します。
一作毎に、全く趣が異なる作品で、しかも外れることがありません。
新作が待ち遠しい作家の一人です。