ある夜のこと、オオカミのウォーにひつじのまきばが襲われた。
こひつじのチリンのおかあさんは、チリンを庇って死んでしまう。
チリンは強いけものになるため、ウォーに弟子入りするが…。
『あんぱんまん』のやなせたかしによる絵本。
可愛らしい表紙とは裏腹のシリアスな復讐憚。
母も父も無くし、ひつじでもオオカミでもない「ものすごいけもの」になったチリンの姿は壮絶。
見返しのチリンがとても可愛らしいだけに、その落差がひどく刺さる。
恨みと復讐のやるせなさをひしひしと感じた。
文を見なくとも絵だけで話の流れがわかる構成はさすが。
しかし、果たしてこれを子どもに渡したものかどうか。
こういう話に引き付けられる子もいるとは思うが、自ら持ってきた場合以外はあまりオススメできない。
大人向けの絵本としたい。