「この絵本、とってもすごいんだよ。野菜のことで、勉強になることがいっぱいあるの!」と、読み終えてすぐに、興奮気味に教えてくれた娘。
1つずつ花の名前を指で隠しては、「これ、なーんだ?」と楽しそうにクイズを出し、「ざんね〜ん! これは、○○の花でした。」と、得意顔で答えていました。
私には、全部そっくりな「黄色い花」としか見えず、区別がつかなかったものでも、娘は、「全然似てないでしょ。ほら、ここの蜜のところ(雌しべの部分)が、こっちは丸いけど、こっちのはぺたんと平らになってるでしょ?」と、細かな部分までよーく見ています。
そして、パパにも、一生懸命訳しながら、1つ1つの花の名前を教えてあげました。パパも、「これは、うちの畑にもあったね。」とか、「ピーナッツの花なんて見たことがなかったな。」と、楽しそうに話していました。
広野さんの作品は、「ねぼすけスーザ」のシリーズに代表されるように、とてもかわいらしい表情の女の子が印象的ですが、「ちいさな魔女リトラ」を読んだとき、背景に描かれている色とりどりの花の美しさに思わず息をのみました。以来、ほかの作品でも、ストーリーとは直接関係のない植物にも目が行くようになり、そのたびに、図鑑のような正確さと、植物そのものが持つ美しさに感動を覚えていました。
そして、この絵本を読んで、やっとそのわけがわかりました。広野さんは、25年もの長い間、菜園で野菜を育ててこられたんですね! 単に図鑑や写真のようなリアルさだけではなく、1つ1つの花や野菜に注がれている温かい目線・・・それが本当に伝わってくる絵本です。