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父親と2人やってきた町は虫の世界だった。 何とも衝撃的な絵本です。 でも、この絵本が難民のことを扱っていると解ったら、何とも辛辣なアイロニーとして頭に溶け込みました。 難民からみたを移住先の世界です。 これがそこに住んでいる社会から見たら、やってきた人が虫に見えるに違いありません。 現に日本では、同じ人間でありながら、難民と認められずに収容施設で命を落としたり、逃れてきた国に送還されるのではないかと怯えている人たちがいます。 この人たちへの扱いが、人間的だとは思えません。 お互いが人間として、共に生きることを願った絵本なのだと思います。 視点を変えれば、周りの人たちが虫に見える精神構造は、心理学的でもあると思います。
投稿日:2023/04/21
2009年南米コロンビアの作品。 物語は、 故郷から遠く離れたこの町に ある日 わたしたちは 辿り付きました」 という書き出しで始まります。 どうも、パパと私で引越ししてきたようなのですが、何と、周りにいるのは等身大の昆虫のみ。 人がみんな昆虫に見えるという設定なのですが、その絵がリアル過ぎて、ある意味衝撃を受けました。 昆虫好きなら未だしも、好きでなければ、とても直視出来ない作品かもしれません。 時間の経過とともに、わたしは、周りの昆虫達とも仲良くなっていくのですが、最後まで、昆虫は昆虫のまま。 絵本の世界の常道で考えれば、最後は、昆虫が人間に変身しそうなものなのですが、徹底しています。 一読しただけでは、中々理解が進まなず、グロテスクな作品と評価しかけたのですが、その背景を知ると、 また、衝撃を受けました。 この作品は、単なる引越ししたわたしの寂しい気持ちとか孤独感を描いた作品ではなく、難民として辿り付いたことがテーマとなっていたのです。 難民の現状を伝える作品として、国連難民高等弁務官事務所の支援を受けて、ラテンアメリカ各地で配布されているとのこと。 だからこそ、これだけ重々しい印象が拭えなかったのだと、納得できました。 わたしの心理を描写しているのですが、それは、単一民族である日本では到底想像だに出来ないことなのでしょう。 あまりに深刻すぎるので、ためらう向きもあるかも知れませんが、その手法は絵本ならではのものであって、素晴らしい出来栄えと言えると思います。 快作と言うに相応しい作品として、オススメします。
投稿日:2012/03/03
女の子とパパが、ふるさとを離れ、とおい町に引っ越してきます。 そこは、いろいろな虫が住む町でした。 女の子は、学校に通い、パパは仕事を探しにいきます。不安そうな女の子ですが、だんだんうちとけて虫たちと仲良くなっていくお話です。 知らない町にきて、知らない人ばかりだと、周りが虫みたいに別世界に見えるのかもしれません。転校の経験のある人は、もっと共感できるんだろうな、と思いました。 絵や色づかいも好きです。4歳の息子は、虫が好きなので選びましたが、私の方が気に入った絵本です。
投稿日:2011/11/14
引越し・転校の不安な気持ちが描かれたお話でした。 大きくて気持ちの悪い虫たちの町で戸惑いつつ、段々馴染んでいく様子がたくましくてじんときます。 何故虫の町なんだろう?という疑問がありましたが、引越し・転校の気持ちはそれくらい別世界で戸惑うものなんでしょうね。
投稿日:2011/10/08
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