東日本大震災で津波を体験した少年が主人公のお話です。
読みながら、テレビから流れていたニュース映像が脳裏に甦ってきて、
「あの日」のことを思い出しながら読みました。
あの震災を体験した人の数だけ、いろんなドラマがあったことでしょう。
津波の被害にあった少年が、それでも海が好き、という気持ちを
持ち続ける姿が、困難に負けずに前向きに立ち向かう、復興への思いを
表現しているのだと思います。
テレビの映像で、実際に津波にあった場所や避難所の様子などを
さんざん見ていましたので、正直、この絵本の描写だと上っ面だけで
小綺麗に描かれているように感じ、「いや、もっと酷い状況だったでしょう?」
とツッコミたくなりました。
東日本大震災を知らない人達がこれを読んだ時、こういう綺麗な描写で
少年の深い悲しみや辛い現実を感じてもらえるかどうかは正直疑問です。
いろんな思いを抱えた上で、それでも前向きに生きていこうとする姿を
もっと強調して欲しかったです。
英語での表記もありますので、世界中の人に読んで欲しいとのことなのだと思います。
だとしたら尚更、もっとリアルな厳しい現状を表現するべきだったのでは?と思います。