「シンデレラ」の絵本の話をします。
えーっ、そんな話知ってらーい、と逃げ出そうとする子どもたちもたくさんいるでしょうね。
でも、大切な話ですから、戻ってきて。
もちろん、お話はみんなよーく知っていますよね。ディズニーのアニメ映画にもなっているし、ディズニーランドにあるシンデレラ城で結婚式まで挙げたお二人もいるくらいですから。
パレードには本物? のシンデレラが手を振ってくれますもの。
原作はグリム兄弟やペローだと言われていますし、原題が『灰かぶり姫』というのも最近ではクイズにもならないくらい有名。
だから、お話のことは書きません。書かなくても、みんな、よーく知っていますとも。
書きたいのは、この絵本を描いたのが安野光雅さんだということ。
安野さんといえば、司馬遼太郎さんの『街道をゆく』(この本のことはお父さんに聞いてごらん)の二代目の挿絵画家だったし、『旅の絵本』という絵だけの絵本も作っていて絵本の世界でも有名です。
その他にも、本の装幀とかもたくさん手がけています。
そんな安野さんが描いた『シンデレラ』ですよ、この絵本は。
ちょっと開きたくなりませんか。
童話と絵本はとっても仲のいいコンビです。
特に昔話のような作品はたくさんの絵本作家さんが描いています。
例えば「桃太郎」とか「一寸ぼうし」とか「赤ずきん」とか。
絵本の愉しみの一つは、そういうたくさんの絵本作家がどんな風に馴染みのある作品を描いているかを知ることでもあります。
安野さんの『シンデレラ』は子どもたちが喜ぶような派手さはないかもしれませんが、建物の様子とか町の描き方など安野さんならではのきめ細やかさが随所に見られます。
安野さんのファンだけでなく、「シンデレラ」を知っている子どもたちもまったく新しい気分でページを開くように思います。
こ こにあるのは、今まで目にしたことのない『シンデレラ』といってもいいでしょう。
ディズニーランドのシンデレラはここにはいないけれど、また違った世界に出会えるのも悪くはありません。